夜毎にわたしの洋墨(インク)は垂れる
人生を綴る羊皮紙の上に
それなり甘美な筋書き
それでも書棚に積み上げられた
古今東西本の中
あなたの小説ひとつに
及ばない
活字貪り生きられればいい
扉開けるように次の表紙を
また開く
現など捨てて行く
ここは
神々しく気の触れたその右手のペン先が
わたしの脳に物語を認めてく官能
ああどうか躰を裂き
じかに美しい妄想
注いでください
失神するまで
叡智は閃光と暗澹湛え
熟成されながら言葉に宿る
悪魔と天上の爛酔
他に何もわたしはいらない
あなたの世界へと飛べる
想像力あれば
命かけ読み耽る
ここは
見目麗しく並び語られる文字は音楽
瞼も胸も捲られてく目眩く幻覚
もうどうかこの魂
潰れるくらい凄絶な
たった一度きりの結末をください
奇なる事実より奇な
ここは
わたしが死んだ後は青褪めた皮膚を剥ぎとり
鞣して縫い合わせて装丁に飾ってほしい
時の黴纏いつつ
世界に唯一の私家版
誰かが手に取るまで息を潜める
わたしこそがあなたの描いた妄想
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