天に微睡む神の指から
物語をしたためる藍墨(インク)
空に零れて広がる金青(ブルー)
固く錆び付いた門扉が開いて
いまが 逢魔ケ刻
一斉に舞う菫蛾緑蝶
鱗粉は七色の霧雨
恐れず濡れた外套(マント)を脱いで
さあようこそ
迷い込まれた乙女
われが城の主
蒼の絨毯一歩進めば
紅粉青蛾の侍女が
その手を握り 宴に誘う
奥の大広間には
大勢の華やぐ人
時が 戻る
夕月豪華な仮面舞踏会
村人罪人魔女も王も踊る
遠い昔の
幻影などではない
乙女よ あなたが
わたしを目覚めさせた
その胸にある純粋で
なんと懐かしい
紫いろの瞳なのだろう
知っておられようか
人は死に その魂(プシケ)は
蝶に変わり
愛した場所 離れられないまま
舞うのだ
永い間 忘れていた
喜びと そして悲しみ
ああ何より
わが城より
守りたかった美しい妻
わたしを見つめる
その瞳は
あの日のもの
どうか行かないでおくれ
永遠の先
逢魔ケ刻が
闇に沈むまで
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